昨年12月に行なわれた「Tech Kids Grand Prix 2020」の決勝プレゼンテーション大会は、極めて衝撃的な内容でした。自身もこの大会の最終審査の審査員として参加させていただいたのですが、この驚きについては当ブログでも何度も記事にしています。改めて、舞台裏の様子も含めて、3つの驚いたことについて備忘録的に綴りたいと思います。

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小学生のプログラミング大会「Tech Kids Grand Prix 2020


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つめの驚きは、当たり前のことかもしれませんが、審査が「ガチ」であったことです。自身、これまでのキャリアの中で、数え切れないくらいにこの手の審査員を務めてきましたが、こんなにも真摯に作品に向き合ったコンテストを知りません。主催側の“本気”がそうさせるのでしょう。例えば、審査員に配られた採点要項と採点表にも、いくつもの工夫のあとを見ることができました。細部に至るまで編集が行き届いていることで、審査する側も、自ずと本気モードと化していきます。審査会自体のデザインが本当によく出来ていると思いました。

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審査員から専門的な質問が飛び出すほどのレベルの高さ


2つめは、大会の模様をご覧になった方は誰もが頷くと思いますが、子どもたちのプレゼンテーションのレベルの高さです。ファイナリスト10名のプレゼンテーションを会場の最前列で聴いている間中、「ウソだろ」「マジか」「スゲえ」という言葉が心の中でずっとループしていました。

彼らのプレゼンテーションに度肝を抜かれたのは自分ばかりではなかったようで、授賞式終了後のメディアによる子どもたちへの合同取材でも、プログラム作品よりも、この日のプレゼンテーションに関する質問が多く出たほどです。「2ヵ月間、毎日(プレゼンの)練習をしました」と屈託なく応える彼らに、またもや「マジか」「スゲえ」と心の中で叫ばずにはいられませんでした。

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ビジュアルプログラミング言語以外の言語も駆使した作品も登場

グランプリ第3位と企業賞のLINE賞をダブル受賞した平川さんの作品が3つめの衝撃です。
入院中のお祖母様と楽しく会話をしたい、という動機で開発したという平川さんの作品「ぶらっしゅとーく」は、実によく考えられているインターフェースでした。特に「ぶらっしゅとーく」独自の機能である「文字盤」は、色覚特性への配慮、読みやすいフォントの選択など、本職の編集者でも見落としがちな細部にまで拘ってデザインされています。操作ボタンの種類と数も、多すぎず、それでいて必要なものはしっかりと押さえていて、極めてバランスの良い構成となっています。平川さんは、これらについて「ユーザビリティ・アクセシビリティ」という言葉で語られていましたが、それはまさに「編集」そのものです。これほど高度な編集性をひとりの小学生が有していること、これは驚愕でしかありませんでした。

LINEの理念である「CLOSING THE DISTANCE」をまさに体現したようなこの作品に、初めてのLINE賞を贈ることができたのは、自身としても望外の喜びでした。しかも、平川さんはこの日、自宅のある宮崎からのオンライン参加であったため、ステージ上のディスプレーに映る彼女に賞を贈るという、「新しい行動様式」を地で行くような授賞シーンになるというおまけまでつきました。

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「ぶらっしゅとーく」を開発した平川さん

プログラミングは、そのスキルの部分だけが取りざたされがちですが、平川さんのように、作品に触れる人のことをまず考え、そのために様々な試行を繰り返していく。そうした姿勢こそが、私たちが目標とすべき「プログラミング的思考」なのではないかと、改めて思わせてくれました。

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Tech Kids Grand Prix 2020」に登壇した10人のファイナリストと5名の審査員

<著者プロフ>
福岡俊弘  
LINEみらい財団/デジタルハリウッド大学教授
1957年生。「週刊アスキー」編集長、総編集長を経て、2017年よりプログラミング教育に携わる。
今年4月からLINE entry教材編集チームに参加。

【LINE entry編集部コラム】未来の学びと、学びのミライ 第1回
【LINE entry編集部コラム】未来の学びと、学びのミライ 第2回
【LINE entry編集部コラム】未来の学びと、学びのミライ 第3回

Tech Kids Grand Prix 2020
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