第1回では、デジタル庁、総務省、文部科学省、経済産業省の4省庁から公表された「GIGAスクール構想に関する教育関係者へのアンケート結果及び今後の方向性について」という資料をもとに、千葉大学教育学部教授の藤川先生にGIGAスクール構想をめぐる学校現場の状況と課題について伺いました。そこから見えてきたのは教育へのICT利用に対し、子ども、保護者、教員それぞれがまったく違った点に着目しているということでした。
また、藤川先生によれば教員はICT機器を使用して行う授業に対し、機器の不具合などにより授業進行が止まるのではないかという根本的な恐怖を感じているとのことでした。詳しい内容は以下のリンクから第1回の対談をご覧ください。
【対談企画】プログラミング教育の現状に喝! 第1回 GIGAスクール構想の現状と課題

今回は、教員のICT機器を使用した授業への不安、恐怖の解消方法を探っていきます。

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左から千葉大学教育学部教授の藤川大祐先生、みらい財団の福岡俊弘。

(第1回のネットやPCが止まってしまうのではないかという教員の不安の話を受けて)

福岡:でもこれって知見を積み重ねるしかないですよね?

藤川:そうですね。知見っていうのはまさにおっしゃる通りで、ひたすら「習うより慣れろ」でいくしかないというのがICT活用でも言えるわけです。たまに使うと本当にもう悲惨ですよね。普段から使っていれば何てことないんですけど、たまにやってないことをやろうとするとだいたい上手くいかないわけで。もう慣れておくしかないんですよね。

福岡:PCが上手く動かないときの解決方法を共有するっていうぐらいしか方法はないんですかね。

藤川:
おそらく解決方法を知っているだけでは解決できなくて、実際に解決した経験までないとなかなかスムーズにいきません。だから、上手くいかないことを想定して、別の手段を用意しておくしかないんだと思います。代替手段を用意しておくことは大切ですね、

福岡:
動かなくなってからネットで検索したり質問してみたりでは間に合わない、と。

藤川:
学校の場合は、その瞬間に何とかしたいんですよね。授業を止めてしまうことが問題なので。だから、自分が問題なく使える別の手段を用意しておいて、上手くいかないときはそちらに切り替えるっていう対応以外にないような気がしています。

福岡:
さて、次に進みたいのですが、「アンケート結果の分析」で14ページからにある“表層課題とその裏にある課題の両面”っていうのが面白いと思いました。

藤川:
上手い分析ですよね。

図1
GIGAスクール構想に関する教育関係者へのアンケート結果及び今後の方向性について」より

福岡:
アンケート対象者のインサイトがきっちり把握できているわけではないんですが、ここに示したゴールに向かって、プロセスはこうあるべきだっていうところに持っていってるのは良いですね。原因はここなんだから、全部ディスカッションしなきゃダメだ、議論しなきゃダメだってことを何度も言っている。なかなか誠実なレポートだなあと思いました。

藤川:
15ページの「B、課題の真因」に書いてある「目指す学びの姿の指針を提示」あたりの問題は、常に議論が必要なところだと思うんですが、これまでなかなか議論のきっかけがなかったんですよね。今回のGIGAスクール構想によって、端末、ネットワークの整備が一気に進んだ。それに伴って表層的なことが一気に噴出してきて、結果として裏にあるものを考えなきゃいけないってことがようやくわかったんじゃないか。つまり、状況が大きく変わったことで裏にあるものも見えやすくなったのかなと。

図2
GIGAスクール構想に関する教育関係者へのアンケート結果及び今後の方向性について」より

福岡:
デジタル庁だけじゃなくて、当然、総務省、文部科学省、経済産業省との横断的な議論になっていきますよね。

藤川:
もともと文部科学省なんかは学びの在り方を変えるんだってことはずっと言ってきたわけです。だけど、なかなか変わってこなかった。端末が配られたことによってようやく学びの在り方も問われるよねってことが認識されやすくなってきた、そういうことじゃないかと思います。

福岡:
学びの在り方が変わる、と。

藤川:
実は、情報教育関係の議論と教科教育関係の議論がどうしてもすれ違うんですよ。結局これは、国語とか算数とか各教科をどういうふうに扱っていくのかっていう議論に落とし込めないと学校の日常は変わらないわけです。教科の学習についても学び方を変えようって議論はずっとある中で、ようやく端末が入ってきて、やっぱり今までの紙と鉛筆だけのやり方だけじゃまずいよねってなってきた。だから、今日本の学校は分水嶺にいるんじゃないですかね。あんまり変わらないかもしれないし、もし大きく変わったとしたら、そのきっかけがGIGAスクールだったってことになるかもしれない。

福岡:
15ページに記載されている課題は、その意味ではよく整理できていますね。こうやってみると、LINEみらい財団がやっているのは、例えば「イ」(モラル/リテラシー教育の準備・提供)や、「エ」(教員研修・教員養成課程改革のサポート)のところとか、なにがしかのお手伝いをさせていただいてますね。今年から教員研修のカリキュラムの提供も始めましたし。

図3
GIGAスクール構想に関する教育関係者へのアンケート結果及び今後の方向性について」より

藤川:
「キ」("目指す学びの姿"について、複数省庁横断で議論し、指針を提示)のところに、プログラミング教育が微妙に入っているんですが、これ、実は大事なのかもしれないと思っています。「先生が正しくて、あるいは教科書が正しくてそれを注入すればいいんだ」っていう古い教育観、学習観を変えなければ絶対にできないのがプログラミング教育なんですよ。先生が正しいって言ってもプログラムが動かなかったらしょうがないわけですから(笑)。

図4
GIGAスクール構想に関する教育関係者へのアンケート結果及び今後の方向性について」より

藤川:
プログラミングはロジックと試行錯誤だけでやっていかなければいけない。そうなると、受け身で教わるんじゃなくて、児童や生徒が自分たちで問題解決していくっていう学習が広く様々な場所で行われるようになる。目指す学びの姿っていうのが明確になって変わってくるというストーリーに繋がると思うんです。だけど、まだまだ道は長い。プログラミング教育がようやく始まってそれでもまだまだ教育課程の中ではごく一部しか占めていないですが、このプログラミング教育がこの先伸びるかどうかっていうのはわりと大事な論点だと思っています。

福岡:
まったく同意です! ただ、そのプログラミング教育というものを、なかなか理解いただけない。これ、どうやったら伝わっていくのかなって思います。

藤川:
プログラミング教育はまだまだ始まったばかりです。これから、教員が手応えみたいなのを徐々に感じて、今まで見られなかった子どもたちの姿があるぞというふうに思った時に、少しずつ変わっていくんだろうと期待はしています。ただ、上手く授業ができないと仕方ないので、そういう意味ではLINEみらい財団をはじめ、民間の方のプログラミング教育へのサポートは大事だと思っています。

福岡:
頑張ります(笑)

第2回はここまで。
次回は、ICT端末の使い方のルールについて交わした議論となります。

「プログラミング教育の現状に喝!」はこちらから
【対談企画】プログラミング教育の現状に喝! 第1回 GIGAスクール構想の現状と課題
【対談企画】プログラミング教育の現状に喝! 第3回 ひとり1台ICT端末の活用法
【対談企画】プログラミング教育の現状に喝! 最終回 これからのプログラミング教育の課題

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