デジタル庁、総務省、文部科学省、経済産業省の4省庁から公開された「GIGAスクール構想に関する教育関係者へのアンケート結果及び今後の方向性について」を参照しながら、3回にわたって小学校でのプログラミング教育の必修化、そしてGIGAスクール構想の実施が進む現況、今後の展望について千葉大学教育学部教授の藤川大祐先生にお話を伺ってきました。そして本対談の最終回は、GIGAスクール構想の「現在における総点検」的な視点から、課題のあぶり出しを行ないました。

これまでの対談の詳しい内容は以下のリンクからご覧ください。
【対談企画】プログラミング教育の現状に喝! 第1回 GIGAスクール構想の現状と課題
【対談企画】プログラミング教育の現状に喝! 第2回 プログラミング教育が学びの在り方を変える
【対談企画】プログラミング教育の現状に喝! 第3回 ひとり1台ICT端末の活用法



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左から千葉大学教育学部教授の藤川大祐先生、みらい財団の福岡俊弘。


福岡:さて、この対談もそろそろまとめに入っていきたいと思います。文科省がGIGAスクール構想を提唱した目的として3つの項目を掲げていたと思います。ひとつは、予測不可能な社会を自立的に生きる力を子どもたちに身につけさせる。これは、今まさにこれから実践しようとしているところですね。
ふたつめは、居住場所やインフラ格差による教育格差の解消。今回のアンケートでも、この点が保護者の方がもっとも心配されているところなのかな、と。この問題は解消しますか?

藤川:ネットワークをどこでも使えるようになると思うので、ある程度は解消するでしょうが、単純にネットワークとか端末だけの問題ではなく、人の問題もあります。インフラの格差は解消できたとしても、ちゃんとやってる地域とそうでない地域の差はどうしても出てきます。ただ、それは「差」が問題ではなくて、そこから底上げできるかどうかがポイントだと思います。

福岡:なるほど、 GIGAスクール構想によって少なくともインフラの格差は解消できる。しかし教える側のリソースの問題は喫緊の課題だと。

藤川:新しいことを、皆が「いっせーのせっ」で同じようなレベルでやっていくのは不可能ですよね。これまでは、研究開発校みたいなものを国とか自治体が指定して、そういうところで一歩先に新しいことをやってもらい、そこからまわりの学校へ広げていくというようにやってきたわけです。今回も、熱心にやっている学校をいくつか作ってもらって、そういう学校の先生に聞くことで、ほかの先生も追い付いていけるというふうにしていくほかないと思います。

福岡:そういう意味ではこのアンケート結果の中で、先生方のキーワードに「研修」という言葉が頻繁に出てくる。先生方の意識がやっぱりその方向に向いているんだろうな、なんとかしなくちゃって感じているんだろうなと、ちょっと頼もしく思っていたところです。
 そして最後の3つめが、教員の業務負担の軽減。ここだけもうちょっと先なんじゃないですかね?

藤川:業務負担っていうのは新しいことをやっているうちは減らないです。新しいことが定着してから業務負担が減るわけです。

福岡:しばらく先生方に我慢していただくしかないんですかね。

藤川:ただ全体的に教員の業務負担軽減っていう動きはあります。部活動の見直しや会議の問題、校務支援システムだとか、いろいろなものが変わりつつあります。特にデジタル化によって業務を軽減しようっていう期待は高いので、そこは職員会議とか家庭との連絡をどうするとか、今まで紙でやっていたものをデジタル化してどんどん進めていくことによって実感できるところは多いと思います。

福岡:なるほど、やはりそこは実際に進んでいるんですね。

藤川:はい。たとえば今までだと子どもたちにアンケートをとるときは、普通に全部、手集計するんですよね。一方で、いじめアンケートとかって年に何回もとらなきゃいけないわけです。学校行事なんかがあっても、感想とかを全部手書きで書かせて、それを会議用に文字をすべて打ちなおして資料にまとめて、と。こんなことを膨大な時間をかけてやっているんです。そんなの、もうデジタルにしちゃえばすぐに解決しますよね。
 授業をどうするかっていう点では、デジタルにしたからといって教員が楽になるわけではないですが、校務的なものはデジタルにして劇的に楽になることが多いです。職員会議の資料を印刷して出すみたいなこともなくなるし。

福岡:新しいことをやる分、一時的に負担は高くなるけど、そこは我慢してやっていくうちに成果が出てくるということですね。
 最後になりますが、子どもへのアンケートで気になったのがこの部分です。22ページに「勉強をわざわざタブレットでしなければならないこと」について納得できる理由を広めること、というふうに書かれていました。タブレットをわざわざ使う必要があるのか、と。

図1
GIGAスクール構想に関する教育関係者へのアンケート結果及び今後の方向性について」より

藤川:これ、たぶん、子どもが言ってることって教師が思っていることの反映でもあると思うんですね。教師の方がとにかくタブレット使わなきゃいけないからってむりやり使っているっていう意識が反映されている可能性が高いと思っています。

福岡:なるほど、先生の意識でもあるんですね。裏を返すとタブレットを生かしたような授業がまだできていない。

藤川:たとえばみんなが文字入力したのものを瞬時に集計してスクリーンに出してとかってやっていれば、なんでタブレットを使うんだとか思わないですよね。タブレットでしかできないわけですから。

福岡:おー! とかってなりますよね、絶対。

藤川:ええ、そうですそうです。おー!みたいなことが結構あるわけですよね。明らかにアナログじゃできないことって山ほどあるわけで。そういうことにタブレットを使っていれば、こんな疑問は出ないんです。

福岡:デジタルならではの教材、デジタルだからこその授業、そうしたものが必要ということですよね。GIGAスクール構想がもたらしてくれたものの先に、そうした方向性というか授業の未来がちゃんと見えてくるといいですね。課題は多いですが、成果はきっと上がってくるわけですから。
 ということで、藤川先生、4回にわたるお付き合い、どうもありがとうございました。LINEみらい財団としても、これからもよりよい教材をつくって、先生方のお手伝いができればと思います。

「プログラミング教育の現状に喝!」はこちらから
【対談企画】プログラミング教育の現状に喝! 第1回 GIGAスクール構想の現状と課題
【対談企画】プログラミング教育の現状に喝! 第2回 プログラミング教育が学びの在り方を変える
【対談企画】プログラミング教育の現状に喝! 第3回 ひとり1台ICT端末の活用法


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