みなさん、はじめまして! LINE entry教材編集チームの福岡と申します。
これから月に1回、この公式ブログの中で、プログラミング教材を作りながら気がついたことや、これからのプログラミング教育のことなどを書かせていただきます。
よろしくお願いします! 初回は、「座標」の話です。


LINE entry「みんなの作品」の中にある、entryハカセの作品「たからさがし」の紹介記事を書きながらハッとしたことがありました。
「たからさがし」は、月の世界に隠された宝箱を、宝箱までの距離だけをヒントにブラウンを操作して探し当てるタイムレースのゲーム。
矢印キーの操作を覚えると同時に、パソコン画面の「座標」という考え方を知ってもらおうという意図で制作したものです。
ところが……そう、小学校の算数では「座標」は習わないんですね。これは困った。

画像 (1)
みんなの作品「たからさがし」


小学校算数科では、4年生のときに、「座標の意味につながる平面上や空間にあるものの位置の表わし方」について学習することに、指導要領の上ではなっています。
が、これは線形代数学で扱う順序対としてのベクトルという考え方でない、つまり本当の意味での「座標」ではないと、大阪教育大学の上出先生らが情報処理学会研究報告の中で指摘されています。
プログラミングの世界では、キャラクターやアイテムを画面上に表示させるには、座標は避けて通れない考え方です。座標をスルーして果たしてプログラミングを教えることができるのでしょうか?
 
低年齢向けプログラミング教育への取り組みが比較的早かったイギリスには、先生向けの指導ガイド本がいくつも出版されています。
その中の導入編ともいうべき一冊を、3年前に購入してみたことがありました。
本は、20ほどのレッスンからなり、それぞれに学びの内容、授業の進め方などが事細かに記されているガチの指導書です。その最初の単元がまさに宝探しです。
内容はというと、子どもたち全員で公園に行き(このあたりがイギリスっぽいですね)、木の枝などで碁盤のようにマス目をいくつも作り、ひとつのマスにお宝を置きます。
子どもたちはまずひとりずつ、スタート地点から縦方向と横方向に進むマス目を数えながらお宝をとってくる。
次に、今度は自分で取りに行くのではなく、近くの誰かに縦に何マス、横に何マス進めと指示を出して、その子にお宝を取ってきてもらうようにします。
 
先生はこの宝探しのあと種明かしをします。
取りに行かせる子どもがコンピューターで、その子に出す指示が実はプログラムなんだよ、と。そんなレッスンになっているわけです。
なるほどよくできてるなあ、とその時は感心したわけですが、これって「座標」ですよね? 
「縦に◯◯マス、横に××マス」というのは、スタート地点から見たお宝のあるマスの相対座標に他なりません。
 
一方、意識的に小学校低学年から「座標」の理解に重点を置いている国がドイツです。
ドイツには「数の本」という算数の教科書があり、日本の小学校1年から4年にあたる子どもたちが、この教科書で学んでいます。
「数の本」に着目されたのは現在は佐賀大学大学院の米田先生で、米田先生は、「数の本」が「座標」を重要な学習に位置づけていると指摘されています。
教材「街並み」というのがそれにあたり、格子上に構成された街の地図の掲載ページを広げて、ある地点から別の地点までの最短距離を考えるなどしながら次第に「座標」の概念を学んでいくというものです。
 
日本の公教育では、「座標」を学ぶのは中学1年になってからです。
動的な数字の捉え方へと導いていく座標は、小学生が紙の上で学ぶのは難しいと考えられていたのかもしれません。
しかしながら、コンピューターゲームの世界に小さい頃から馴染んでいる今の子どもたちには、「座標」はとても身近なものではないかと思うのです。
縦スクロール、横スクロールのシューティングゲームは、自機を縦横斜めに動かしながら、敵機を撃って得点を争うゲームです。
まさに、縦横無尽に座標を駆け巡る世界なのです。

教科書や黒板などの教育ツールはスタティックなものですが、パソコンやタブレットは動的な環境を提供します。
ICTの導入によって、これまでは紙の上では教えることが難しかったことが、イメージしやすい形で容易に指導できるものになるかもしれません。
未来の学びは、今の学びがICT化するだけではなく、ICTによって学びそのものが進化していくのだと思います。



<著者プロフ>
福岡俊弘  LINEみらい財団/デジタルハリウッド大学教授
1957年生。「週刊アスキー」編集長、総編集長を経て、2017年よりプログラミング教育に携わる。
今年4月からLINE entry教材編集チームに参加。


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