109日、滋賀県教育委員会主催の小学校教員向け研修「小学生プログラミング教育&情報モラル教育オンライン速習」が開催されました。
 

この研修は、201912月に滋賀県とLINELINEみらい財団が締結した「『滋賀県ICT推進戦略』に基づく滋賀県の取組に関する協定」の取り組みのひとつ。LINEみらい財団が力を入れている「プログラミング教育」と「情報モラル教育」について、それぞれ45分ずつ、模擬授業を体験していくものです。忙しい教員の方々に向けて、短時間で必要な知識を身につけ、翌日から実践できる内容を目指しています。


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1人1台」の環境で「安全」かつ「楽しく」使うための情報モラルを!

 

201912月に文部科学省から公表された「GIGAスクール構想」は、ICTパソコンやインターネットなどを使って人々の暮らしを豊かするための技術や活用法)を鉛筆やノートと同じようなツールとして使用し、地域による環境格差を埋めることなどを目的としています。
この構想に基づき、小中学校への「11台」の学習用情報端末の配布、高速の校内ネットワークの準備など、ICT環境整備が全国で進められています。当初は2023年までに進める予定でしたが、コロナ禍による休校でオンラインでの学習方法が注目されるなど「子どもたちの学びを止めない」ためにもこのICT環境整備は2020年度中へと一気に前倒しになりました。つまり、子どもたち一人ひとりにパソコンやタブレットが1台ずつ割り当てられるという時代がすぐそこまで来ているのです。そしてこれに伴い、情報社会と接することになる子どもたちへの「情報モラル教育」は、プログラミング教育とともに、その導入が急務となっています。

 

今回のオンライン研修では、最初に主催である滋賀県教育委員会 幼小中教育課の青木明弘指導主事から、「本日は二本立て。プログラミング教育については、小学校5年生の算数で11月頃に実施する正多角形の学習内容で、すぐに授業に取り込める内容になっています。また、情報モラルについては、今後『1人1台』の端末を持つ環境になっていくなかで、同時並行で進めていかなくてはならない重要なものです。」と、紹介いただきました。

 

講師を担当したのは、LINEみらい財団の西尾勇気です。西尾からは「ゴールは『明日から使えると実感できる』こと。皆さんが困っていらっしゃる部分をサポートする時間にしたいと思います。」と挨拶。

そして、情報モラル教育の目的について、「情報モラルとは、情報社会で適正な活動を行なうための考え方や態度で、子どもたちがパソコンやインターネットなどを安全に使うだけでなく楽しく使うために必要な知識です。学校の授業だけでなく、子どもたちの生活の中に情報端末が入っているこれからの時代では、ますます適切に活用できるリテラシーを育んでいく必要性があります。」と説明しました。

 
 

「自ら考える」情報モラル教育教材をシーン別に用意

 

LINEの情報モラル教育は、静岡大学と連携しながら共同研究で教材開発を行なってきました。「日常モラル」「ネットの特性理解」「想像力・判断力」という3つのキーワードをポイントにし、学年やテーマによって使い分けることができるようになっています。さらに、情報モラル教育を行なったことで子どもたちにどんな効果があったかを調査し、東京都や神奈川県の教育委員会と連携しながらネット利用のトラブルについての研究にも取り組んでいます。
 

西尾は「これまでの情報モラル教育は、一方的に知識だけを教えるものが多く、その題材となるリアルなトラブル例は子どもを怖がらせてしまう場合もありました。また学校でルールを作ってしまうとそれ自体が目的となってしまうことがあります。」とし、「今回の研修で子どもたちが主体で考えることができる授業が広まってほしい。」と思いを語りました。



3ネットの特性をおさえながら、子どもの想像力や判断力を育むことが重要

 

 小学生用の教材で3つのワークに挑戦

 

今回の研修では、教材の中から小学生向けのパートを抜粋し、3つのワークを行ないました。

 

最初のワークは「基本編」のひとつで、「自分の当たり前が、ほかの人の当たり前ではない」という「日常モラル」を学ぶものです。「自分だったらどうするかを考えてみよう」という問題を、5種類のカードを使って行ないました。友だちに言われて「イヤ」と感じる言葉を、カードに書かれた5つの言葉の中から選びます。その後、選んだ言葉を全員で見せ合い、グループワークでなぜその言葉を選んだのかを話し合います。

 

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ワークで使用した「基本編」の5枚のカード

 

研修ではソーシャルディスタンスを配慮しつつ、4人前後のグループで意見交換を行ないました。話し合いでは活発にそれぞれの思いを伝え合い、時折、笑い声も聞かれました。

西尾は「話し合いでは色々なことに気付いたと思います。聞こえてきたご意見で『(言われる)人による』というものもありましたが、まさにその通りで、誰に言われたかタイミングや言い方にも影響が出ます。5枚のカードを改めて見てもらうと、悪口ではなく、ほめ言葉としても使われる言葉を用意してあります。どれが不正解でどれが正解というわけではないのです。イヤな言葉は人によって違う。人の受け取り方は、感覚の違いがあり、自分の当たり前が人の当たり前と一緒とは限らないことを、ワークを通じて感じてほしいです。」と、意図を話しました。

 

 

ネット上のコミュニケーションの難しさを体感する

 

次のワークは、仲の良いグループでのネットコミュニケーション上の会話を例に、「日常モラル」と「ネットの特性」のふたつについて考えるものです。夜、眠いのに友だちとの会話がなかなか終わらないとき、どんな返信をするかについて、再びグループワークで意見交換をしました。参加した教員からは「寝てしまうふりをする。」「朝になったら謝る。」といった意見も出ました。


5ネットのコミュニケーションの難しさを考えるワークでの画面サンプル

 

西尾は、「このワークでのポイントは、顔の見えないネット上では相手の感情が読みにくいということ。さらに、日常モラルでの人と自分の違いといった問題も含んでいます。」と解説しました。LINEでのなにげないやり取りによって、相手の反応が大きく変わってしまい、時にはトラブルに発展してしまうことを、このワークを通して実感することができます。
 

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ネットでは相手の気持ちを察することが難しい

 
 

ネットの特性を知り想像力を働かせる

 

最後に行なったのが、「ネットの特性」であるSNSでの発信についてのワークです。

鬼退治に行った「ももたろう」が鬼退治をSNSで発信したときの結果を考えてみます。実際の講座では、ここで子どもたちに「起こりそう」な展開を3分間でできるだけ考えさせるというものです。


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情報が拡散され、受け取る人の感情の変化を表すイラスト


西尾は「考えるときに、4つの視点が重要です。自分の意見に賛成してくれる人だけでなく、ふざけやすい人、信じやすい人、批判しやすい人といった様々なタイプの視点があり、タイミングによっても視点は変わります。いかにこれらをくみ取れるかが大切です。実は、これは日々体験していることで、みなさんがテレビのワイドショーを見て意見をつぶやいているときも、この4つの視点のどれかにあてはまっているかもしれません。」と解説しました。


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ネット上で見られる4つの視点を可視化

 

これらのワークでは、自分が他の人の立場だったらどんな行動をとるかを考え、友だちと共有することで想像力を高めます。また、自分と相手との思考の違い、ネットの特性である顔の見えないまたは知らない相手をどう理解しながら、どういう行動がとれるかを考えるトレーニングになっています。いつの間にか加害者になっていることもあるーーその気づきをここで学びます。

 

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ネットトラブルは当事者だけでなく、周囲にいる人も加害者になる可能性がある

まとめに西尾は「情報モラル教育は
LINEでのいじめ問題を解決しようと始まりました。今でも私たちのスタンスは、学校現場での困りごとや問題を解決したいというものであり、情報モラルやプログラミング教育教材は使いやすい教材を提供して先生たちをサポートできないかという思いから生まれました。明日からでもすぐに使える教材を体感してもらい、『もっとこんな使い方ができないかな』といったイメージにつながる研修を目指しました。」と話しました。


研修後の質疑応答の時間では、6年生を担当している先生から「クラスでネットトラブルによる問題が発生しており、学校でルールを作ろうとしていた矢先でしたが、正しい知識を知って、スマートフォンの正しく使っていくべきだと勉強になりました。すぐにでも教材を使いたいです。」といった意見もいただきました。また、滋賀県教育委員会の青木指導主事からは、「自分の当たり前が、他の人の当たり前ではないということを体験できただけでなく、体験の裏にある意味も学ぶことができました。」と感想をいただきました。

 

単にインターネットの危険性などを座学として学ぶだけでは、子どもたちは「自分のこと」として捉えづらく、なかなか知識として身に付けることができません。今回行なった研修は、見慣れたLINEのトーク画面などを使い、身近なテーマを考えることで実感を持った問題として取り組むことができます。また、グループワークで意見を交換することでほかの人の意見を聞いたり、自分の考えを伝えたりすることもでき、小学生でも理解しやすい内容になっています。子どもたちがネットリテラシーを高め、トラブルを回避し、問題解決能力を向上させた上で、安心してインターネットにふれ、プログラミングの授業に取り組めればと思います。

 
 

後編では、「プログラミング教育研修」についてのレポートをお届けします!

 

 

プログラミング教育の児童向け・教員向けオンライン出前授業は、学校単位でもお申込みいただくことが可能です。興味をお持ちになった学校関係者の方は、こちらよりご連絡をお願いいたします。

 

 

教員向けオンラインイベント

11/8(日)開催】 これからのプログラミング授業、LINEみらい財団がサポートします! 小学校の先生に向けた授業実践オンライン講座 参加者受付中

 

 
 

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