109日に開催された、滋賀県教育委員会主催の小学校教員向け研修「小学生プログラミング教育&情報モラル教育速習」。

この研修では、プログラミング教育と情報モラル教育の2本立てで各45分間、“明日から実践できる”ことを目指し、模擬授業の体験を通して必要な知識や指導法を教員が学びました。

 

すべてを問題解決へ! 「滋賀県 小学生プログラミング教育&情報モラル教育速習研修」実施レポート【前編】

 

後編では「LINE entry」を使用したプログラミング教育研修の様子をレポートします。
 

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■教えるポイントのバランスの取り方が重要

 

LINEのプログラミング教育の取り組みは、情報モラル教育の出前授業を通じて小学校の教員と話していくなかで、プログラミング教育について「指導案の情報がほしい。」「どの教材を使ってよいのかわからない。」といった声を受け、2018年から教材開発を始めました。201910月、学校の授業に取り入れられるよう学習指導要領に基づいて開発した公式教材とあわせて、プログラミング学習プラットフォーム「LINE entry」を無償で公開しました。

 

講師はレポート前編の「情報モラル」研修と同じく、LINEみらい財団の西尾勇気。

まずは西尾から、小学校におけるプログラミング教育の概要やLINEみらい財団が開発し小学校向けに提供している「LINE entry」の公式教材について説明を行ないました。まずは参加者にそれぞれパソコンを用意し、実際に「LINE entry」にふれながら、授業のイメージをつかんでもらう形で進行しました。

 

「導入編」として、LINEみらい財団が20203月に小学校の教員を対象に行なったアンケートからプログラミング教育に関する現場の声を紹介。「授業のイメージがつかめない。」「どの教材を使ってよいのかわからない。」など、プログラミングの授業に対してとまどいの声も多く、調査では7割以上の教員が不安を感じており、その傾向は2034歳の若い世代の教員ほど高いことが明らかになりました。

 
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「教員のプログラミング教育に関する意識」アンケート(LINEみらい財団調べ)

 

 小学校におけるプログラミング教育は、文部科学省が進めるGIGAスクール構想や情報化社会において求められる「情報活用能力」と、将来どんな職業に就くとしても必要となる論理的・創造的に課題を解決していく考え方を身につける「プログミング的思考」の2つを育むことを目的としています。

そして、同省が公開している「小学校プログラミング教育の手引」では、教育課程内の学習活動について分類を細かく6つに分けています。授業で当てはまるものは以下の3つ。「分類A:学習指導要領に例示されている単元等で実施するもの」、「分類B:学習指導要領に例示されていないが、学習指導要領に示される各教科などの内容を指導する中で実施するもの」、「分類C:教育課程内で各教科等と別に実施」で、それぞれの具体的な事例を紹介しています。

 

追加phB 候補その1
教材開発の指標となった3分類

 

「これら、3分類の教科の内容を指導する際、プログラミング教育を同時に実施する場合は『各教科等の学びをより確実にすること』と明記しています。つまり、プログミングを取り入れつつ、その教科の本来の学びをしっかりと理解させる必要があるのです。」と西尾はバランスが必要な側面を語りました。


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教科とプログラミングの学習バランスの可視化

 

「ほかにも『分類D:クラブ活動』など教育課程外で行なう分類EFもあります。プログラミング授業を行なうポイントとして小学校プログラミング教育の肝である『教科・領域のねらい』と『プログラミング的思考』の重なり・バランスを意識しながら進行することをおすすめします。例えば、算数の授業でプログラミングを取り入れた場合、このバランスが悪くなると、プログラミングの授業はおもしろかったけれど、算数のポイントはわからなかったということになってしまいます。」と西尾は解説しました。

 

それでは実際の研修をもとに、どのようにバランスをとった授業を行なっていけばよいのか分類Aの事例をご紹介していきます。

 

 

■模擬授業を体験してイメージをつかむ

 

研修では、実際のプログラミングの授業を模した体験を行ないました。

LINE entry」の公式教材は、もともと小学校の45分の授業時間にあわせて進行ができる内容になっています。授業の進行は3つのパートに分かれていて、まず基本を知ってもらい、次にあえて失敗例を見せてどこを直せばうまくいくか考えてもらい、さらに応用に挑戦するという流れです。

 

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子どもたちにはワークシート、先生にはスライドと進行用ガイドブックを提供

 

 

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基本を学び、修正をした後に応用していくという
3ステップ

 

 

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文科省の「プログラミング教育の手引き」からの抜粋

 

今回は「プログラミングで正多角形をかこう!」という、5年生を対象とした算数の模擬授業を体験していただきました。プログラミングを使ってTシャツに正多角形の模様をデザインし、LINEキャラクターのコニーを手助けするというストーリー仕立てになっています。

 

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シナリオはカメにプログラムで行動を指示するというもの

 

算数で習った正多角形の知識をプログラミングに応用することで、理解を深めていきます。

「まずは正方形をかくプログラミングから始めます。といっても、最初からパソコンやタブレットを使うわけではありません。まずは紙(ワークシート)から始めます。」と、西尾はLINE entryのワークシートを紹介しました。

 

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スタートは生徒も入りやすい紙ベース

 

研修では、3分間でワークシートを記入していきます。参加した先生方は画面を真剣に見つめ、ワークシートに正方形を描くプログラムを考えていました。

「『LINE entry』はブロック型プログラミングといわれる、ブロックの形をした命令を上から下に組み合わせていくタイプのプログラミング教材です。操作もブロックの引き出し方、ブロックの捨て方、やり直し、などいくつかの操作を覚えるだけで、初めての子どもでも簡単に取り組むことができます。」と、西尾が操作の方法を解説。

 

次に、パソコンで「LINE entry」を使用し、ワークシートに書いたプログラムをもとに、実際にブロックを組んでみます。それができたら「スタート」ボタンを押して、正方形をかけるかどうか試します。

 

今回の授業では、プログラミングにおける「順序」と「反復」が学習目標のひとつです。そこで、「〇回繰り返す」ブロックを実際に使ってみます。西尾が、「『繰り返す』を使うことで、8つの指示で正方形を描いていたものを3つの指示で同じように動かすことができます。」と解説。「同じプログラムは繰り返すことができる。」として、プログラミングの大切な要素「繰り返し(反復)」を説明しました。


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「繰り返す」を使うことでプログラムがシンプルになる

 

 

次に挑戦したのは、正三角形をかくプログラムです。ここは、最初に紹介した3ステップの2つ目、「あえて失敗の事例を見せることで、正しいプログラムにどう直すか考える。」パートになります。

 

ここでは自分でゼロからブログラムを書くのではなく、ストーリーに登場したLINEキャラクターのサリーが書いたプログラムを検証していきます。最初のプログラムでは、カメを右回りに90度回転させることを3回繰り返して正方形をかきました。サリーは正三角形なら右回りに60度回転させることを2回繰り返せばかけるはずと予想してプログラミングしました。しかし、スタートボタンを実際にクリックしてみると、正三角形にはほど遠い形になってしまいました。

西尾は「このプログラムのどこかを直せば正三角形が作ることができるはず。」と話し、参加した先生がどんな修正をすればよいか考えました。実際の授業では再びワークシートを使って考えて、次に「LINE entry」の画面で試してみるという工程になります。35分の修正の時間を経て、会場の教員が自分の作ったプログラムを披露しました。

 

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正しい正三角形ができるよう自主的に考えることが重要

 

正三角形をかくためには右回りに60度ではなく120度回転させることが必要となります。授業進行では、「きれいに正三角形がかけること」そのものではなく、なぜ「120度という答えを導き出せたのか」という点が、算数のもっとも重要なポイントです。

西尾は「『たまたま120度にしたらかけちゃった。』では、算数の学びになりません。ワークシートを用意し、間違えたプログラムをあえて見せるのは、こうした『たまたまできた』を回避するためです。子どもたちが頭の中で整理・理解したものを、プログラミングを使って確認するのが、この教材を使った授業におけるポイントです。」と解説しました。

 
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算数で習った要素が基本となるプログラミングの授業

 

さらに次のステップは、「他の正多角形のプログラムも考えてみよう。」という課題を提示し、それに挑戦する時間になります。

この5年生を対象とした算数「プログラミングで正多角形をかこう!」では、プログラミングの学びの「順次」と「反復(繰り返し)」、算数の多角形における外角を同時に学習できます。プログラミングを通して、算数で習った正多角形の性質についてより深く理解できるように「教科・領域のねらい」と「プログラミング的思考」の重なり・バランスを意識した授業になっています。

 

 

■ロボットやボードゲーム……楽しい体験が大切

 

模擬授業の体験が終了し、西尾は「今回の教材はプログラミングを組むことで、算数の時間の中でプログラミング的思考を育むことができるものです。子どもたちがどのように想定をして、動作をしたものが実際どうだったかを確認できるサイクルを、授業のなかでどれだけとれるかが重要だと考えています。特に想定のパートが抜けてしまうと、きれいな多角形をかけても、なぜかけたかを理解していない場合、プログラミング的思考の育みにはなりません。」と注意を促しました。

 

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年生では角度、6年生は拡大・縮小、縮図を意識したものとなっている。

 

プログラミング研修の最後には、プログラミングの楽しさや達成感が味わえるC分類向けの教材として、LINEみらい財団が現在開発しているロボットプログラミングやボードゲームなどの教材などを紹介しました。

 

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論理的思考を育むロボットやボードゲーム

 


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ゲーム感覚で楽しめる
LINE entry「ミッション」

 

 最後に、西尾は「小学校のプログラミング教育においては、いかに積極的に色々な教材を体験するかが重要です。体験し、まずは5年生の算数、6年生の算数といったA分類を学校で実施します。さらに、BC分類も実践していくことで、プログラミング教育の環境やカリキュラムを無理なく整えていくことができるでしょう。」と研修をしめくくりました。

 

A分類については学習指導要領にも例示されているため、比較的実施しやすいものになっていますが、B分類などについては「どんな授業をしたらよいのか。」と悩まれるかもしれません。LINE entryの公式サイトには、「学ぶ」と書かれたメニューの中に、算数や家庭科での分類Bの公式教材も公開していますので、ぜひ授業にご活用ください。

今回の研修では、プログラミング教育という新しい分野において、教員自身が楽しんでプログラミングに取り組んでいました。また「なぜプログラミングを授業に取り入れるのか。」という理解も深まっていました。今後の小学校でのプログラミング教育の授業に生かしていただけることを期待しています。

 
 

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